第36回全国高等学校柔道選手権優勝を振り返って 平田高校 佐々木健志
2014年5月28日
私が柔道に出会ったのは3歳の頃。自分では全く覚えていませんが、父や兄の影響を受けて始めたのは確かです。出雲市立第一中学に入学するまでの私は、ただ漠然と夢を語り、何となく稽古していました。中学の先輩方はとても強く、中には全国大会で上位入賞された先輩もおられました。
それまで私は全国大会に出るだけで満足していたような選手でしたから、身近に全国トップクラスの選手がいて、同じ道場で稽古をしていることに感激していました。しかし、そのうち、「同じメニューの稽古なのに何が自分と違うのだろう。」と考えるようになり、それがいつも不思議でなりませんでした。そして自分なりに出した答えが「意識」です。私は与えられたメニューをただ何となくこなしているだけでしたが、先輩方は、練習メニューの中で、 自分に必要なものは何かを意識しながら稽古をしているのではないかと考えたのです。そして、それ以後、常に一つでもいいから自分なりに工夫することを意識して練習し、生活するようになりました。中学1年までは全く結果が出なかった私ですが、それからの県総体、中国大会、西日本大会は優勝、全国中学校大会でも5位入賞し、少しずつ自信を持てるようになると同時に、「意識」の大切さを感じるようになりました。
進学する高校を決める時、県外の強豪校に行くことも頭をよぎりましたが、与えられたメニューをこなすより、自分なりに工夫して強くなろうと決意し、地元、平田高校に進学しました。最初のうちは、中学の先輩やチームメイト、全国のライバルたちが県外の強豪校で活躍している中、結果が出ず、とても悔しい思いをしてきました。しかし、高校進学は自分で決めたこと。「自分を信じ、毎日工夫した稽古」を重ねていきました。
この全国高校選手権前はけがも多く、思うように稽古ができませんでした。でも、自分なりに工夫して練習し、できるだけのことはやってきました。決勝戦では、内股で有効ポイントを先行されましたが、落ち着いた試合運びができました。背負い投げからの小内刈り、すかさず十字固めからの上四方固めで逆転、勝利ができたのも、「前後の技」、「投げから寝技への繋ぎの速さ」を意識して繰り返し練習してきた成果です。自分を信じてやってきて、本当に良かったと思いました。
私の夢は日本一になることではなく、世界一になることです。今回のことで一つの自信にはなりましたが、決して過信せず、これからも夢を叶えるために今まで以上に考え、工夫しながら生活していこうと思います。